SHE(Sexual Health Education)検定とは
今、日本では、毎日40人の10代女性が、予期せぬ妊娠により、人工妊娠中絶手術を受けています(厚生生労働省「平成28年度衛生行政報告例の概況」)。 また小学6年生までに、6.4人に1人の女子、17.4人に1人の男子が性虐待に遭っている、という結果が出ています(日本性科学情報センター「子どもと家族の心と健康」調査報告書)。 性暴力を経験している子どもは、けっして少なくありません。
しかし、日本でこれまで実施されてきた性教育の多くは、性に関する体験をしていなかったり、性暴力に遭っていないことを前提とした「予防」と呼ばれるものでした。 たとえば「知らない人には写真を送ってはいけません」「たとえ付き合っている相手でも携帯を見るのはプライバシーの侵害です」「セックスの時には必ず避妊しましょう」といった表現です。 しかし、既に知らない人に写真を送ったことがあったり、付き合っている人に携帯を見られていたり、レイプで妊娠した経験のある子どもは、こうした記述によって、かえって傷ついてしまうことがあります。
私たちは、既に性経験があったり、性暴力を経験している人でも、安心して取り組めるものを作りたいと思いました。 サイトを通じて、自分の経験を振り返りつつ、自分が持つ力を感じることができたらいいなと思いました。
そこでSHE検定は、性被害を経験したことがある子どもが取り組むことを想定して作成しました。 そのため、問題、回答、解説に使われる表現や言葉は、断定ではなく、寄り添い、ともに考えていこうというメッセージになっています。
これまで性教育に取り組んできた人たちからすると、少し物足りなさを感じるかもしれません。 「どうしてもっと正論を書かないんだ」と疑問に思うかもしれません。 でも、その1つひとつの正論を、既に性経験のある人や、性暴力を経験した人がどう受け止めるか。そんなことを考えるきっかけになったらいいな、と思います。
私たちも本当に悩みながら、約2年の歳月をかけて、このSHE検定を構築しました。 子どもたち、そして先生や大人の方々からも、率直なご意見をいただければ幸いです。